ちょっと前の話ですが、2週間前の土曜日、Tribal Cafeで開かれたPoel主催の3回目のアコースティックライブイベントで演奏してきました。

カフェライブはいつも自分にとって大切なライブなのですが、今回のイベントは特に大切な、大きな意味を持つ1日となりました。

今回のイベントは、毎週月曜日にCAN-ZO’で一緒に演奏している相方の「紳士」さんとのギターデュオ、「Rioの紳士(仮)」のお披露目カフェライブとなりました。

平日の夜にお店の片隅でBGM的な演奏をしているパッとしないオジさん2人がですよ、いつかカフェライブとかに参加してみたいよね~なんて言っていたのがいきなり実現して、週末の夜にカフェで、音楽目当てに集まるお客さんの前で視線を浴びながら演奏するわけですよ。

言ってみれば、シンデレラ的な社交界デビュー!?

…とは言うものの、自分は過去に何回かTribal Cafeで演奏しているので、アウェーと言うよりはホームみたいなものなんですけどね。

でも、紳士さんとのアコギデュオを友人達や音楽好きな人達が集まる場で披露できたのは良かったです。

紳士さんも演奏や場の雰囲気を楽しんでいたみたいで、誘った自分も一安心。

それにしても、何が起こるかわからないものですね。

今回のカフェイベントはお客さんとして友人達の演奏を見に行くのを楽しみにしていたのですが、予想外の出来事がありまして、急遽参加させてもらうことにしたんです。

でね、最初は自分1人でと思ってましたし、紳士さんとのアコギデュオでのカフェライブへの参加は早くても来年の春ぐらいかなあと思っていたんですけど、せっかくなのでこの機会に紳士さんとデュオでチャレンジしてみようと思ったんですね。

出不精で、面倒くさがり、準備が十分にできていないと人前で演奏するのが気が進まないという自分が、なぜ、友人を誘ってまで演奏にいく事にしたのか....?

それは、「予想していなかった嬉しい知らせ」があったからでした。

実は自分はこのカフェイベントの第一回目に参加させてもらっていまして、その時に自分の演奏をとても気に入ってくれたお客さんがいたとPoelから聞いていました。

それだけでもとても嬉しいことでしたが、どうやら、そのお客さんから「以前にボサノヴァをやった人は今回来ないの?」とのリクエストがPoelに寄せられていたそうです。

えぇ~!!! 本当に!?

なんて嬉しく、光栄な事なんでしょう!

「これは会って、直接御礼を言わねば!」とのことで、即答で参加させてもらう事にしたのでした。

年末業務の嵐の中、本番に向けての練習を重ねる事なんて無理ですから、独りではきっと演奏がグデグデになってしまったでしょうけど、そこは普段演奏しているデュオの強み、相方の紳士さんの力を借りて、見に来てくださったみなさんに楽しんでもらえる演奏となりました。

アコギデュオ「Rioの紳士(仮)」は、2人でどんなことができるか色々と実験&チャレンジして、楽しみながらデュオで奏でる音楽を発展させていきたいと思っています。
ひとまずは今回のお披露目演奏で、その姿勢をほんの少しはお見せできたのではないでしょうか。

シェイカーあり、カホンありと、ギターだけでなく自分達ができる楽器はなんでも取り入れてみようとのことで、かなり雑多で盛りだくさんな演奏となりました。
少ない人数でも色々と工夫をすることで、一つのスタイルに凝り固まらない柔軟さを持っておきたいと思っていますが、ボサノヴァ好きな自分達としましては、ギター一本と歌だけの世界というのも大切にしたいところです。

そんな訳で、紳士さんのギターに自分がハンドマイクで歌だけという思い切ったチャレンジもしてみました。

いやぁ~、これはなかなか危険な賭けでしたね。

楽器から解放されるので歌に専念しやすくなるのは良いのですが、左手が妙にスカスカで心もとない。
しかも、視線の集まりようが半端じゃ無く感じられましてねぇ。
これは意識してしまうとガッチガチに緊張しそうでしたので、ぐっと歌に集中しました。

そんなこんなで、ソフトにさらっと歌おうと思っていたのが、予想外に熱唱となってしまいました。 汗

あとで紳士さんに、「いやぁ~熱唱でしたねぇ~」と笑われちゃいましたよ。

歌い手というにはまだまだ技量も経験も未熟ですが、こうやって色々と試したりしながら個人としてもデュオとしてもステップアップしていけたらなぁと思います。

イベントが終わり、演奏者とお客さん達が楽しく会話でもりあがったり、写真を取り合ったりしている中、お母さんぐらいの年頃の女性に声をかけられました。
「今日の演奏良かったわぁ。ウチの娘が楽しみにしてたのよ。」
と、側にいる女の子を引き合わせてくれました。

そう、その女の子こそ、Poelにリクエストをしてくれた女の子だったのです。

自分から話しかけようと不器用ながらもタイミングを見計らっていたのですが、お母さんに先を越されてしまいました。笑

リクエストをくれたその娘さんは、もの静かでシャイな感じの優しい女の子でした。

あまりの見た目の若さに驚いたんですけど、後で知って納得、なんと、ティーンエイジャーだったのです。

自分なんて10代の頃はアコースティックサウンドなんて良さが分かりませんでしたけど、アメリカという土地の音楽の浸透度と、10代で普段はロックを聴くけどアコースティックサウンドも好きというそのお嬢さんのセンスの良さにまたまた驚きました。

さすが、カントリーの国だけはありますね。

そのお嬢さんは今日の僕と紳士さんの演奏も楽しんでくれたみたいでして、僕も今日のリクエストの御礼を言えましたし、このイベントに参加した目的を達成することができました。

話によると、そのお嬢さんは僕の演奏や雰囲気だけでなく、声も気に入ってくれていたようです。
人種や言葉が違うだけでなく、年齢がこんなに違う人から、純粋に「あなたの音楽が好きです、声が好きです」と言われた事は初めてでした。

音楽仲間や友人達から僕の音楽に良い評価をもらっても、社交辞令もあるでしょうから「友人だから」と話半分に聞いていましたし、音楽をしない人から「良い声しているね」と言われても、「歌になるとそれだけじゃダメなんですよ~」と自分の歌唱力の無さを痛感していたりしましたけど、このお嬢さんに言われて自分の中で何かが変わりました。

自分の音楽と声で喜んでもらえるなんて、なんて素敵な事なんだろう!
もっと自分を磨いて、また楽しんでもらいたい、喜んでもらいたい。

もしかしたら、それは演奏者としての自覚が生まれた瞬間かもしれません。
もしかしたら、それは自分の声というものを初めて真剣に考えた瞬間かもしれません。
もしかしたら、ファンというもののありがたさに初めて触れた瞬間かもしれません。
もしかしたら、音楽を通じて誰かと知り合える喜びを深く感じた瞬間かもしれません。

そのどれもが是であり、自分の中に今までになかった何かが芽生えたのも確かなことでした。

心の深いどこかにあった、自分の声に対するコンプレックスも消えてなくなりました。

どこか懐かしさを感じさせるそのお嬢さんと話をした時間はほんの数分でしたけど、自分の今後を大きく変える何かを受け取った気がします。

とてもありがたく、自分自身の人生において大きな意味を持つ数分間でした。

生きてきた長さも背景も、文化も習慣も、言葉も性別も違う人から、この声を好きだと言われたことは、自分の中にある自分自身を素直に受け入れることをためらう自分を洗い去ってしまいました。

録音した自分の声を聞くたびに、違和感を感じたり、何か嫌だなぁと落ち着かない気分になったりしていましたけど、「この声を活かしていこう」「磨いていこう」と、すんなり思えたのは初めてでした。

誰々みたいな声だったら良いのにな...から、自分の声をもっと掘り下げていこう、へと自分の中でポールシフトが起こったのです。
(主催者がPoelだけに、とは言いませんけど。 そんなオヤジギャグは言いませんけど。)

そして、この声で、自分が自然にまとっている雰囲気で作品を作っていって、聞いてもらって、もっと楽しんでもらえたら....。

「もう、自分の声に言い訳はできないな。」

素敵な出会いとともに、新たな決意が生まれた2016年の年の瀬なのでした。

家路について、ふと気がついた事.....。

なぜか懐かしい感じがしてたんだけど、なんなんだろう?

あぁ、そうだ、あの娘にどこか似ているんだ。

それは今から25年以上も昔の話。
自分が弾き語りをするようになるなんて思いもしていなかったギター兄ちゃんだった遠い日々。
そこには、いつも僕の側にいてくれた女の子がいました。

あの娘はちょっと調子外れな自分の歌を気に入ってくれていたっけ....。

ちょうど年齢もこの夜にあったお嬢さんと同じ。

なにか不思議な巡り合わせを感じました。

いまでは、きっと、あのころの自分達の年齢ぐらいの娘さんがいてもおかしくないお母さんですね。

自分はと言えば、あいかわらずギターをポロポロとつま弾いてる....。

変わるもの、変わらないもの、過ぎた日々、これからやってくる日々、分かれと出会い、終わりと始まり....。

巡り巡って、またここから新しい一歩です。

そんなこんなで、人生の機微に想いを馳せる、忘れられない夜になりましたとさ。